第8回国際妊孕性温存学会学術集会で発表しました

第8回国際妊孕性温存学会学術集会で発表しました

2024年11月15日から17日に東京で開催された「第8回国際妊孕性温存学会学術集会」に出席しました。本学会は、がんや他の疾患治療により妊孕性が損なわれる可能性のある患者さんにとって、希望をつなぐ重要な場です。国際学会として、参加者600名のうち約400名が外国からの参加者という大規模な会となりました。3日間にわたる活発な議論や情報交換を通じ、妊孕性温存の未来について多くの知見を得ることができました。

当院では、以下の演題で発表を行いました:

“Trend in medically indicated oocyte and embryo freezing and a case of pregnancy for cancer patient using frozen-thawed oocytes under COVID-19 pandemic at our clinic”
(医療的適応による卵子・胚凍結の傾向と、COVID-19パンデミック下で凍結保存卵子を用いて妊娠したがん患者の症例)

この発表では、以下のポイントについて紹介しました:

  1. 医療的適応による卵子・胚凍結の増加傾向
    当院では、がん治療やその他の疾患治療に先立つ妊孕性温存のための卵子や胚の凍結件数が増加していることをデータで示しました。
  2. COVID-19パンデミックの影響
    パンデミック下でも凍結保存した卵子を使用し、妊娠を成功させたがん患者の具体的な症例を報告しました。このケースでは、治療を受けた後でも希望を持ち続け、医療スタッフと連携して健康管理に努めた結果、無事に妊娠が成立した事例を詳細に説明しました。

この発表は、パンデミックという困難な状況下でも、妊孕性温存が有効かつ希望を支える手段となり得ることを示す貴重なデータとして、他の参加者からも関心を集めました。

がんや疾患治療を受けても、治療の進歩によりその後に妊娠・出産を希望される方が増えています。当院でも乳がんなどの治療後に凍結保存していた卵子を使用して妊娠された方の例が年々増加しています。特に高齢での妊娠が多いですが、患者さんが自己管理に努め、医療と連携することで、これまでのところ大きな問題は発生していません。

  • 妊孕性温存技術が多くの地域で急速に普及している一方、アクセスに制限のある地域も多いという現実。
  • 技術的進歩だけでなく、医療費助成や社会的支援の充実が課題として挙げられていること。

当院として、妊孕性温存の選択肢をさらに広げるとともに、患者さんの希望に寄り添った医療を提供していきたいと考えています。今回の学会での発表や学びを、日々の診療に反映し、多くの患者さんが未来に希望を持てるような支援を続けてまいります。

学会での経験を活かし、妊孕性温存医療のさらなる発展に貢献していければと思います。これからも患者さんの人生の一助となれるよう努力を重ねていきます。

【参照】
・「卵子凍結」についてはこちら
・【大阪府】がん患者等(非がん疾患を含む)妊よう性温存治療費等助成事業についてはこちら
・ISFP2024


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