妊娠後期のお茶摂取が子どもの認知機能に好影響?

妊娠後期のお茶摂取が子どもの認知機能に好影響?

本日は、最新の研究から「妊娠中のお茶の摂取と子どもの認知機能」に関する興味深い論文をご紹介します。

2025年3月に【Scientific Reports(Natureファミリージャーナル)】に掲載されたばかりの論文で、妊娠後期における母親のお茶の摂取と、出生後の子どもの認知機能の関連性が示唆されました。

【論文】Scientific Reports, 2025年, Vol.15, Article number: 8832

中国で行われたこの研究では、妊娠後期の安定期に、お茶を適量飲んでいた母親の子どもは、そうでない子どもと比べて認知機能が良好であったという結果が得られています。
一方で、コーヒーにはこの効果は見られなかったとのこと。

カフェイン自体は妊娠中には摂取量に注意が必要な成分ですが、なぜ「お茶」だけがこのような効果を示すのかは、今後の研究課題とされています。

また、先日ブログにも紹介した、世界的にも話題となったNature Metabolism誌の論文では、妊娠初期〜中期の母親の食生活が子どものADHDや自閉スペクトラム症(ASD)のリスクと関連していることが報告されました。

特に、欧米型の高脂肪・高糖質・精製食品中心の食事をとっている母親の子どもは、発達障害のリスクが高まる傾向があるとのこと。

さらにこの研究では、母体の血液中から43種類の代謝物を特定し、うち15種がADHDリスクと強く関連していることも明らかにされました。これらの代謝物は、炎症や酸化ストレスの調節に関与しており、胎児期の神経発達に重要な役割を担っていると考えられます。

これらの研究成果を受けて、今後は日本人妊産婦の食生活と胎児発達リスクの関連についても、より【精密医療(Precision Medicine)】的なアプローチが求められる時代がくるかもしれません。

例えば:

  • 妊娠初期・中期には、特定代謝物の挙動を見ながら食事指導
  • 妊娠後期には、過剰なカフェイン摂取を避けつつ、日本人に馴染みのある「お茶」を適量推奨

ちなみに、この研究の「お茶」は、紅茶だけでなく、緑茶や烏龍茶など中国茶も含む総称的な【茶類】です。どのお茶がより効果的だったかについては、個別の品種や成分までは深掘りされておらず、今後の研究が待たれるところです。

もちろん、現時点ではあくまで相関関係が示唆された段階であり、因果関係を語るにはさらなる検証が必要です。ただ、母親の食生活や飲み物の選択が、次世代の健康に影響を与える可能性は非常に示唆的であり、日常の診療にも活かしていけるテーマだと考えています。

【出展】

  • Scientific Reports, Impact of tea and coffee consumption during pregnancy on children’s cognitive development, 2025年
  • Nature Metabolism, 2024年論文(詳細は割愛)

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