医師の船曳美也子です。
アンタゴニスト(排卵抑制剤)を指定される使用法どおりに使用しても、排卵してしまうことが時にあります。
その場合の特徴はあるでしょうか。今回は、ほとんどのIVFをアンタゴニスト法で行っているNYのIVFセンターで行った統計です。
2004年8月から2012年7月までアンタゴニスト法でIVF採卵した10,809周期のうち、LHサージが起こってしまって採卵できなかったのは0.34%でした。排卵していたのは平均40歳で、採卵できた方の平均は38歳と年齢に有意差がありました。
次に、同じ40歳でLHサージがおきてしまった方と、採卵できた方の違いはどこかというと、卵巣予備能力でした。アンタゴニストしてもLHサージがおきてしまったかたは、Day3のLHは同じでしたが、Day3のFSHは平均11.9mIU/kmLと高く、AMHは平均0.4ng/mLと低値でした。
そして排卵前のE2が高くないのに、LHサージがおきています。
推定される原因としては、視床下部の感受性が変化してしまうこと。
対策として、アンタゴニストの量を倍にすると有効だったとのべています。
当院でも、アンタゴニスト発売された当初、卵巣予備能力の低い方にアンタゴニストを使用しても排卵してしまうという、筆者のグループと同じ問題に直面しました。
当院の場合も、アンタゴニストの量を調整することで解決しました。が、問題は費用です。
アンタゴニストはまだ高価な薬なので、使用量が増えると一回の採卵の値段が高くなってしまいます。
早くジェネリックがでてほしいと思っています。