医師の船曳美也子です。
The kisspeptin-GnRH pathway in human reproductive health and diese
Karolina Skorupskaite UK
Human Reproduction Update, Vol.20,No.4 pp485-500,2014
今回は、キスぺプチンについてのレビューです。
キスペプチン、聞きなれない言葉ですが、脳の視床下部という原始的な部分に存在し、女性では初経のきっかけをつくる大切なホルモンです。基本的な働きは、GnRHやLHの律動的分泌を促すこと。
また、黄体ホルモンに対してはネガティブフィードバックを行い、女性ホルモンにはポジティブフィードバックを行い、LHサージをつくります。
このように、キスぺプチンは、女性の月経周期をつくる司令塔の役目をしています。
現在、体外受精では、HCGかGnRHa(ブセレキュア―など)しか卵胞成熟に使用されていません。
が、すでに製品化されているキスぺプチンが一般化すると、OHSSや黄体機能不全をおこしにくく、より自然に近い卵胞成熟が可能になるでしょう。
また、PCOSの本態の1つは、LHパルスの頻度の増加ですが、キスぺプチンのアンタゴニストを投与することで、正常化する可能性があります。
原始時代からあったはずですが、存在が確認されたのは1996年で、ほんの20年ほど前です。
まだ使用は一般的ではありませんが、今後注目したいと思っています。
ところで、なぜキスぺプチンかというと、有名な”kiss”というチョコレートからとっただけだそうで、情熱的なkissが月経周期をみだすとか、そういう因果関係があるわけではないようです。