医局カンファレンスです。
今回の検討では、できるだけ条件を揃えるために
以下の1-3を満たす場合を「反復着床不全」としました。
- 調節卵巣刺激はGnRHアゴニスト法またはアンタゴニスト法
- 授精法は、コンベンショナル法(ふりかけ法)またはICSI(顕微授精)の両方
- 形態良好初期胚または胚盤胞を新鮮または凍結融解周期で計3回3個以上移植 にもかかわらず、すべて血液妊娠反応陰性
第1グループは、反復着床不全の後、引き続き次周期に胚移植へ進んだ方で、臨床妊娠率が13.9%、12週の継続妊娠率が10.1%、
第2グループは、反復着床不全の後、IFCEを受け異常は見つからず、その次の周期に胚移植へ進んだ方で、臨床妊娠率が34.4%、12週の継続妊娠率が26.1%、
第3グループは、初めての胚移植を受けた方で臨床妊娠率が36.0%、12週の継続妊娠率が31.5%
でした。
臨床妊娠率と12週継続妊娠率について、第1グループと第2グループ、第1グループと第3グループの間に有意差がありました。
一方で、第2グループと第3グループの間には統計差は有りませんでした。
IFCEは反復着床不全に有効な方法であることが再確認されました。
また、次周期の胚移植の妊娠成績は、初回胚移植の成功率と比べても遜色ないことがはじめて明らかになりました。
次に、12週で継続妊娠した方の中で、妊娠合併症を発症した割合は第1グループが37.5%、第2グループが33.3%、第3グループで36.6%と差は有りませんでした。
以上から、反復着床不全を経験した女性が妊娠した場合に合併症の発症率は、通常の体外受精妊娠に比べて増えることはなく、IFCEによる影響も心配いらないのでは、と現時点で考えています。
もちろん今後も追跡予定です。