ASRM2013 胚着床・着床障害関連トピックス…その2

ASRM2013 胚着床・着床障害関連トピックス…その2

医局カンファレンスです。

4.「染色体正常胚を移植した周期では、胚着床率・継続妊娠率は女性年齢によらず差はなかった」米国NJ州・NY州の着床前診断の先導グループのひとつによる共同研究です。

タイトルどおりの内容で、『「子宮力」「内膜力」は年齢に大きく作用されない』と言い換えてよいと思います。当然、子宮・内膜側になんらか問題があって胚移植がうまくいかない方も、年齢に因らず少なからずおられますが。

問題は染色体正常胚を得るための「卵巣力」です。
この力は加齢とともに確実に低下していきます。
年齢が高い方に対して、できるだけ採卵を優先していただくよう強く勧める理由がここにあります。

5.「子宮内膜厚と臨床妊娠率との関係については、まだまだ未解決」いろいろな報告を見ての個人的な感想です。

大規模調査や、対象を特定の状態に絞り込んだ研究などこの問題に取り組んだ報告をたくさん見聞きすることができましたが、「子宮内膜厚は一定以上あったほうがよい」とする意見と「関連が無い」とする意見でほぼ二分されていました。

中には、子宮内膜厚が1cm増加するごとに、臨床妊娠率が上がったり下がったりする解釈の難しい追跡調査結果がありました。

またある米国の研究者は、アジア系、アフリカ系、白人、ヒスパニックで至適な子宮内膜厚が違うのではないかと人種差の問題を指摘していました。

昼食会はASRM全体の中でも最も盛り上がる会議のひとつで、ここでもこの話題について討論がおこなわれましたが、意見は「ほぼ半々」でした。「厚いほどよい」とも言えず、いまだ議論のさなかです。