理事長の中村嘉孝です。
サンディエゴで開かれていた米国生殖医学会(ASRM)に行ってきました。
今回、当院からは北宅医師とエンブリオロジストの高野の3名の参加だったのですが、私は学会前のpostgraduate programという講義を受けるため、2日前から入っていました。
postgraduate program の最初の日は「マイクロ・マニピュレーションの最先端」というものでラボ・テクニックについてです。やはりPGD(着床前診断)が一番のトピックスでした。今後は、Day3胚の割球バイオプシーから胚盤胞のtrophectodermと呼ばれる細胞のバイオプシーに移行していくでしょう。
次の日は受精のプロセスについて最新の知見を勉強しました。分子生物学的レベルで受精の機構が進むにつれ、胚の形態評価や精子の取り扱いなど、臨床的にも違った視点で見ることが必要になってきています。
翌々日の本会議から、北宅医師とエンブリオロジストの高野が合流しました。
学会では同じ時間に平行して別の内容のセッションがいくつも開かれており、できるだけ広い範囲の知識を漏らさずに持って帰るには、手分けして聞きに行かなくてはなりません。
私は、本会議の一日目に、子宮内膜症の手術、ARTの管理手法、CCS(着床前診断として行う全染色体のスクリーニング検査)のセッションに参加しました。
昼食をとりながらテーブル毎のテーマについてディスカッションをする「Round Table」と呼ばれるセッションもあり、私はMD-TESE(顕微鏡下精巣内精子回収術)のテーブルでした。
TESEの第一人者であるコーネル大学のShlegel教授と手術法や精子の処理法について質疑や意見交換をしたのですが、時間を大幅に超えての熱心な討論が続いて、実り多いセッションとなりました。
「ぜひコーネル大学の手術法を見学に来て」ということでしたので、近いうちに機会をつくろうと思っています。
本会議二日目は、次世代の着床前診断技術、性ホルモンの神経生物学的作用、ラボ・テクニックのビデオ供覧、ARTによる多胎などのセッションに参加しました。
「Meet the professor」という、午前中、着床前診断について講演を行ったDagan Wells先生を囲んで質問する企画もありました。論文などで発表できるようなことではないけれども、日ごろの業務から受ける印象や、さまざな体験について貴重な話を聞くことができました。
最終日は他のお二人にお願いし、私は一日早い便で帰りました。
postgraduate programも同じところで昼食だったのですが、内容は全く同じメニュー。
さすがに3日続けて同じものを食べるとキツイ。
中には5日続けての人もいるはず。
まあ、勉強しにきているだけなんで、どうでもいいことではありますが…。