アメリカのアラバマ州の最高裁判所が、胚(受精卵)は、“ヒト“であるという決定を下しました。これにより、アラバマ大学が、体外受精を中止しているという報道がありました。
「体外受精で作られた凍結胚は『子ども』であり、完全な人格権がある」となると、受精卵の廃棄も凍結も何もかもが、訴追の対象になります。
今回アラバマ州最高裁判所がこのような判決を下した経緯は、報道によると、体外受精クリニックの患者が、無施錠の扉から貯蔵庫に入り、凍結胚を取り出して誤って壊してしまった事故に関するものだそうです。この事故で影響を受けた体外受精患者が州法に基づいて、体外受精クリニックを相手に「不法死亡請求(誰かの無責任な行動により不慮の事故が発生し、それによって死亡した被害者の遺族が損失の金銭的補償を請求すること)」の民事訴訟を起こしたことによります。凍結胚が「子ども」とみなされたことになります。
事故そのものは、とんでもないことですが、最初アラバマ州の下級裁判所は、「凍結胚は子どもの定義を満たさない」として訴訟を棄却したそうです。
もちろんどこからがヒトなのか、難しい問題です。体外での胚培養も14日間と上限が設けられているように(現在は全面禁止ではなく特別な監視が必要)、慎重に扱うべきなのはわかりますが、なかなか納得し難い判決です。