女性が妊娠することで、エピジェネティックな老化が加速する可能性を示した最新の研究が、PNAS（Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America：米国科学アカデミー紀要）に発表され、世界中で注目を集めています。進化論的な観点からも、“生殖にエネルギーを割くと体の修復が後回しになり、加齢が進む”という説が支持されてきましたが、今回の研究では、妊娠と生物学的加齢との直接的な関連性が若年女性において確認されました。
今回の研究は、アメリカのコロンビア大学の研究者たちによって行われ、ハーバード大学のピーター・エリソン教授が編集を担当しています。フィリピンのセブで行われた「セブ長期健康栄養調査」に基づき、20〜22歳の男女1,735名を対象に、エピジェネティック老化を6つの異なる指標で測定しました。その結果、若年女性において妊娠経験がエピジェネティック老化を加速することが明らかになりましたが、同年代の男性ではこの関連性が見られなかったことが、妊娠そのものが体に及ぼす影響を際立たせる結果となりました。
エピジェネティック老化がもたらす具体的な臨床的影響についてはまだ議論の余地があります。妊娠が実際の健康リスクや寿命にどの程度の影響を及ぼすのか、因果関係を見極めるためのさらなる研究が必要です。日本でもビッグデータを活用した研究を進めることで、日本人特有の傾向や健康寿命への影響を検討することができ、妊娠や生殖医療の観点からも多くの示唆が得られるでしょう。
今回の研究は、妊娠が若い女性のエピジェネティックな老化を加速させる可能性を示す新たな知見を提供しました。今後、日本を含むさまざまな国や地域でのさらなる研究により、妊娠と加齢の関連性が一層解明されることが期待されます。
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