子宮内膜症と卵子凍結

子宮内膜症と卵子凍結

第46回日本エンドメトリオーシス学会

医師の船曳美也子です。

2025年1月25日、滋賀県大津市で開催されていた第46回日本エンドメトリオーシス学会で教育講演をしてきました。

エンドメトリオーシスというのは「子宮内膜症」のことで、子宮内膜症の専門家が集まる学会です。

そんな先生方に教育講演というのは畏れ多いのですが、『子宮内膜症患者に対する卵子凍結の現状と課題、パースペクティブ』というタイトルで、生殖医療の視点からの子宮内膜症へのアプローチを、少しでもお伝えできたのでないかと思っています。

妊娠を望んでおられる方にIVFが子宮内膜症の治療の第一選択であることも、最初はなかなか理解が進みませんでした。でも、今では内膜症の専門家のコンセンサスとしてガイドラインになっています。

次は、卵子凍結の番です。

医学的理由での卵子凍結というと、悪性腫瘍、つまり、がんの場合だけが注目されきて、良性疾患である内膜症はなおざりにされて来ました。

しかし、海外に目を向けると、ヨーロッパ生殖医学会は2020年の妊孕性温存ガイドラインで「がんだけではなく内膜症にも卵子凍結が適用となりうる」とし、2022年の内膜症についてのガイドラインでは「チョコレート嚢腫(卵巣の中にできた子宮内膜症)の患者には卵子凍結の説明をすべき」と記されました。

学会場で色々な先生方とお話をしてみて、国内でも少しづつ動き始めていると思います。なにより「卵子凍結のテーマで講演を」と、呼んで下さったことが証です。

子宮内膜症は、生殖年齢の女性の10%が罹患しているという、頻度の高い疾患ですが、女性ホルモンが出続ける限り、つまり閉経するまでは悪化するという、やっかいな病気です。根治となると手術ですが、手術には卵巣を傷つけて妊娠できなくなってしまうリスクがあります。

妊娠中は進行が止まるので、パートナーがいて妊娠していいならIVFで早く妊娠するのがいい。

だけど、今、パートナーがいない内膜症患者さんはどうすればいいのか。先に卵子凍結あるいは卵巣組織凍結をしておいたら、安心して積極的な治療ができます。

すべての内膜症女性が将来の妊娠をあきらめることがないように、もっと気軽に卵子凍結を利用できる日が来てほしい。学会場のホテルから、生命の水を湛える琵琶湖を眺めながら強く思いました。


ART Baby Business Cell誌 COVID-19 DNA DNA量 IVF Nature誌 PGT-A X染色体 Y染色体 がん デボラ・スパー氏 ハーバード大学 プレコンセプションケア ホルモンバランス 不妊治療 不妊治療バブル 不育症 体外受精 保険適用 健康状態 免疫療法 副作用 医療提供者 医療法人オーク会 卵子凍結 培養士 妊娠率 子宮内膜ポリープ 年齢 染色体 染色体検査 染色体異常 構造異常 治療法 流産 生殖医療 着床率 精子 細径子宮鏡 自費診療 遺伝子 遺伝的多様性 高度生殖医療