
これまで避妊といえば、主に女性が担うイメージが強くありました。実際、日本では女性用の経口避妊薬(ピル)はあるものの、男性が使える経口避妊薬はまだ実用化されていません。しかし、そんな状況に変化の兆しが見えてきました。
2025年3月26日、大阪大学の研究チームが、精子の形成に重要なタンパク質の複合体をマウスで突き止めたという発表をしました。なんとこの複合体が欠けると、精子の頭部の根元が折れ曲がり、受精できなくなるというのです。これは将来的に、このタンパク質の働きを意図的に阻害することで、男性用の経口避妊薬が開発できる可能性を示しています。
この研究のポイントは下記になります。
- 精子の正常な形成には、Tex38遺伝子から作られるタンパク質が必要。
- このタンパク質が作る複合体が、精子の形を整えるために不可欠。
- タンパク質の働きを阻害すると、精子の頭部が変形して受精できなくなる。
この研究成果は、米国の科学誌に掲載され、世界からも注目されています。
日本では、年間約10万件の人工妊娠中絶が行われているという現実があります。避妊の選択肢が女性に偏っていることで、身体的・精神的な負担も女性に集中してしまうケースが少なくありません。
今回の研究は、そうしたバランスを少しずつ変えていく可能性を示しています。男性が自分の体に責任を持ち、パートナーと共に避妊について考えるきっかけにもなり得ます。
また、これに関連して、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を男性にも接種する動きが欧米を中心に進んでいることも思い出されます。性に関する健康や予防は、決して女性だけの問題ではありません。
性の健康や避妊において、「女性がどうするか」だけでなく、「男性がどう関わるか」も考えることができれば、より健やかで対等なパートナーシップが育まれるのではないでしょうか。
今後の研究の進展と、男性用避妊薬の実用化に期待が高まります。
【参照】(※下記の2つのアドレスは外部リンクです)
共同通信社「精子異常にタンパク質関与 男性用経口避妊薬に期待」(2025年3月26日)
>https://nordot.app/1277368921634062672?c=110564226228225532
>https://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2025/234
ART Cell誌 COVID-19 DNA IVF Nature誌 PGT-A X染色体 Y染色体 がん ジネコ ダウン症候群 ハーバード大学 プレコンセプションケア ホルモンバランス 不妊治療 不妊治療バブル 不育症 体外受精 保険適用 健康状態 免疫療法 副作用 医療提供者 医療法人オーク会 卵子凍結 培養士 妊娠 妊娠率 子宮内膜ポリープ 子宮内膜症 年齢 日本エンドメトリオーシス学会 染色体検査 染色体異常 治療法 流産 生殖医療 着床率 精子 細径子宮鏡 自費診療 遺伝子 遺伝的多様性 高度生殖医療