医局カンファレンスです。
不妊女性において、ビタミンDと卵巣機能の関係について書かれた論文があったので紹介します。
(Fertility and Sterility Vol.110,No.4,Sep,2018,761-766)
不妊女性457人(21-50歳)を対象に、AMH 、FSHとビタミンDの関係について検討しています。ビタミンD 20ng/ml未満をビタミンD不足としています。
その結果、20ng/ml未満と以上で年齢、BMI、AMH、FSH値に有意差は認められませんでした。季節による比較では、春と冬にビタミンD不足の割合が多い傾向が見られました(おそらく日照時間との関係)。
また、38歳未満と38歳以上で、それぞれビタミンDとAMHの間に相関があるかをみていますが、相関はみられませんでした。
(解説)
ビタミンDは以前よりカルシウムや骨代謝に関わっていると言われていますが、最近では、卵巣機能、肥満、免疫機構、メタボリックシンドローム、心臓血管系の病気にかかわりがあるといわれています。
卵巣機能との関係では、ビタミンDレセプターを無くしたマウスでは卵胞発育の減少、卵巣の血管新生、子宮形成不全などが見られるとの報告があります。また最近の体外受精との関係におけるメタアナリシスでは、ビタミンDが不足すると妊娠率、生産率が低下することがわかっています。
今回の論文ではビタミンDとAMH、FSHの相関関係がないという結果になっていました。
しかし、ビタミンDが10ng/ml以下に低下するとFSHが10%上昇するという報告もあります。
まだまだ卵巣機能や妊娠においてビタミンDの役割は明らかにされていないことが多いと考えられます。
今後も注目していきたいです。