ミオイノシトールの体外受精における効果

ミオイノシトールの体外受精における効果

医局カンファレンスです。

ミオイノシトールの体外受精における効果についての論文を紹介したいと思います。(Medicine 2017 98:49 e8842)

メタアナリシスです。
953人の体外受精患者で検討しています。

ミオイノシトールの摂取により臨床妊娠率は1.45倍、流産率は0.26倍、良好胚率(Grade 1)1.73倍、未熟卵率0.31倍、HMG量は327単位少なくなっていました。
採卵総数、MⅡ卵数、刺激日数、最高E2値には差はありませんでした。

ミオイノシトール4g、葉酸400μgを3ヶ月前もしくは採卵周期の初日から採卵決定もしくは移植して14日後まで服用していました。

(解説)
ミオイノシトールはビタミンB類似物質で、体内でレシチンの生成を促したり、脂質や糖代謝を調整しています。また、卵胞内で合成され、近年は体外受精においてサプリメントを摂取することで、卵子や胚の質がよくなるとも言われています。
そして、イノシトールは伝達物質のセカンドメッセンジャーとして、膵臓やその他の臓器の腺分泌の調整をしています。
インスリン抵抗性の改善作用があり、多嚢胞性卵巣症候群や妊娠糖尿病に有効性が認められています。

今回は症例数が少ないこともあり、まだまだ今後の検討をしていかなければいけませんが、成熟卵や良好胚が少ない方、多嚢胞性卵巣症候群の方、卵巣機能が低下している方には試してみる価値はあると思われます。