医局カンファレンスです。
日本エンドメトリオーシス学会という子宮内膜症の研究発表をしている学会があり、その学会誌におもしろい論文がのっていたのでご紹介したいと思います。それは月経困難症に対するアスタキサンチンの効果について書かれた論文です。
アスタキサンチンはご存知の方が多いとは思いますが、化粧品に使われていることで日本では有名ではないでしょうか。
また、抗酸化作用がありアンチエイジングに効果があることも知られていると思います。そのサプリメントを内服することで月経痛の改善と月経痛の持続日数が短縮したそうです。
月経困難症は月経に随伴しておこる下腹痛、腰痛などの疼痛を中心とした病的な状態であり、性成熟期女性の約30%に認められるとされています。
それは、子宮内膜症の発生と関係もあり、妊孕性の低下につながるかもしれない疾患でもあります。
治療方法としては、鎮痛剤、ピルですがそれぞれ胃腸障害や血栓などの副作用があり、安心して使用できるわけではありません。
その点、アスタキサンチンは世界中で広く摂取されているサプリメントの一つで、これといった副作用もなく、抗酸化、抗炎症、血流改善、メタボリックシンドロームの改善、男性不妊に対する効果など多数報告があります。近年、酸化ストレスと子宮内膜症の関係もとり沙汰されており、チョコレート嚢胞内溶液中には活性酸素の活性が高いとも言われています。月経困難症に対するその他の抗酸化物質の有効性についても多数報告があり、ビタミンC、Eやピクノジェノールなどの有効性も報告されています。
また、以前の論文でCA125(内膜症患者で30-50%陽性)が正常値ではあるのですが、20U/ml以上の患者は超音波ではわからない初期の子宮内膜症を併発している可能性が高いとされています。
今回の論文では20U/mlを超えていた患者さんのCA125の値はアスタキサンチン内服中には低下がみられたそうです。ということは、子宮内膜症にも効果があるかもしれないということです。
女性の社会進出にともない、少子化や高齢出産によって子宮内膜症の患者がふえており、女性が酸化物質の影響を受けやすくなっています。このような普段気軽に摂取できるサプリメントを無理なく続けていくことで、アンチエイジングはもとより゙隠れ子宮内膜症゙を予防していくことができるのではないかと思いました。