妊娠前の食生活と妊娠までの期間及び不妊との関係

妊娠前の食生活と妊娠までの期間及び不妊との関係

医局カンファレンスです。

妊娠前の食生活と妊娠までの期間及び不妊との関係についての論文が出ていました。(Human Reproduction Vol.33,No6.p1063-1070,2018)

オーストラリアからの論文です。
妊娠前にどのような食事をとっていたかアンケートを行いました(フルーツ、野菜、魚、ファーストフード)。

結果は、フルーツを食べる回数が多いほど妊娠までの期間が短く、ファーストフードを食べる回数が多いほど妊娠までの期間が長くなっていました。また、1年以上妊娠に至っていない人で検討しても、フルーツを食べる回数が少ない人ほど、またファーストフードを食べる回数が多い人ほど、妊娠しにくくなるリスクが高くなっていました。しかし、葉もの野菜や魚を食べる回数とは関係ありませんでした。

フルーツや野菜には抗酸化物質や植物性化学物質が含まれており、これらは妊娠に優位に働くかもしれないと言われています。また、ファーストフードには飽和脂肪酸、塩分(ナトリウム)、砂糖が多く含まれています。卵胞液の中に飽和脂肪酸の割合が高いもしくは多価不飽和脂肪酸(αリノレン酸、DHA、EPA、リノール酸など)の割合が低いとIVFでの成熟卵胞数が減少する結果が出ています。
ネズミにおける実験でも、脂肪を多く含んだ食事を与えると卵巣組織内に脂質が多くなり、それにより脂肪毒性やアポトーシス(細胞死)を引き起こすことがわかっています。

よく患者さんに『生活で気をつけることはないでしょうか?』と質問されます。
この論文を元にアドバイスするなら、1日1回はフルーツを食べ(量や種類は書いていませんでした)、ファーストフードは週に1回ぐらいにすることが妊娠にも健康にもいいのではないでしょうか。