経済的に、何歳で卵子凍結をするのが効果的か

経済的に、何歳で卵子凍結をするのが効果的か

医師の船曳美也子です。

Optimal timing for elective egg freezing Tolga B. Mesen,M.D.,North Carolina Fertility and Sterility Vol.103, No.6, June 2015 1551-1556

卵子凍結を行うには、何歳が最も効果的だと考えられるか、しかも経済的に。というテーマで書かれた論文です。

医療費の自己負担額は国により異なります。
特にアメリカは日本と異なり、医療費が高額なのは世界的にも有名です。体外受精、卵子凍結といった生殖医療でも同様です。ですから、体外受精では、1回での成功率を上げるために、胚を2つ~3つ戻すことをしばしばしており、そのため双胎の早産でNICUにかかる費用が問題になっています。

で、日本なら一つの胚を繰り返し移植すればいい、ということで単一胚移植が推薦されるのですが、アメリカではさらに、着床前スクリーニングし染色体正常の胚を一つもどしたら最も効率がよい、と、いかにコストを抑えながら結果をだすか、という発表がしばしばされます。

今回は、年齢25歳から40歳までの女性が、どの年齢で、卵子凍結をしたか・またはしなかった場合、その3年後5年後7年後に、妊娠を試みて結果をえられたかどうか、また、そのときかかった費用はいくらかを、いろいろな統計結果からモデルを作って計算しています。

それによると、卵子凍結の費用対出産効果が最も高かったのは、37歳で卵子凍結し、7年後の44歳で妊娠をトライした場合、51%の出産率で$12,910かかり、37歳で卵子凍結しなかった場合の7年後は21.9%の出産率で$2,111となっています。そして、32歳以降であれば何歳でも、その7年後の出産率に10%以上の差がでていました。

不妊患者のデータが入っていないとか、卵巣予備力が低い人ははいっていないなど、統計モデルがシンプルすぎるのが問題ですが、一つのデータとして参考にはなりそうです。