体内リズム…その1

体内リズム…その1

医師の船曳美也子です。

先日NHKの番組で、「時間治療」のことが紹介されていましたね。
時間治療とは、24時間のどの時間帯で治療するかにより、その治療効果が変わるので、より効果の高い時間帯に薬などを投与しようという試みです。

試みと書いたのは、まだ研究段階のものも多いためです。

人間の体には「体内時計(体内リズム)」があります。
脳内の視神経が交叉する場所の上に、視交叉上核(しこうさじょうかく)という約16,000個の神経細胞の集まりがあります。

この部位が生物時計機構の中枢で、体全体のリズムを作る親時計となっています。
朝、日光の光が目に入ることで、光同調性概日リズムが形成されます。

具体的にいうと、時計遺伝子が時計分子とよばれる蛋白質をつくり、それらの量的な変動の綱引きで24時間を決めるようです。
日常的に体内時計を経験するのは、時差ぼけ、ですね。

私もアメリカに出張すると、到着後数日間は夜眠れず、反対に帰国したら昼間ねむくなって困りました。
睡眠薬などで一時的に調整しても、体内時計がすぐに環境になじめなかったんですね。
これは、メラトニンという睡眠導入ホルモンの分泌が、夜中の4時頃にピークになっているため。

これ以外にも、実はさまざまなホルモンが体内リズムをもっています。

例えば、成長ホルモン。

子供の成長を促し、成人では代謝を良くして痩せやすくするホルモンです。
寝る子は育つ、といいますが、これもやはり夜中の3時頃が分泌のピークになります。