医師の船曳美也子です。
『HPVワクチン、既往患者も予防』※という記事が、でていました!
最近の有名な医学雑誌に、子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、すでにウイルスに罹患している方が子宮頚ガンの発症にも有効という記事がでていました。
がん予防にワクチン?と思われるかもしれませんね。
これは、子宮頚ガンは、HPVというウィルスに感染した細胞からなりやすい、ということがわかったからできた対策です。
HPV、ヒューマンパピローマウィルス、はどこにでもある一般的なウィルスで、それ自体はこわくないのです。HPVはタイプがいっぱいあって、そのうちの数型が子宮頚ガンの発症と関係していることがわかっており、このワクチンは子宮頸がんに関連する型のウィルスに感染しても、ウィルスを排除するように免疫をつけようというものです。
なので、いままでは、すでにウィルス感染している細胞をもつかたには、効果がないといわれ、できるだけ性交渉ももたない中高生の投与が勧められてきました。
ですが、免疫をつけて発症をおさえる意味では、感染既往の方にも有効なのではと思っており、また海外でもそういう報告は数件あがっていると聞いていたので、今回の記事もそれが発表されたものだと思います。
子宮頚ガン予防ワクチン、当院では 『サーバリックス』 と 『ガーダシル』 の両者を扱っています。
※文献:Joura EA et al.Effect of the human papillomavirus (HPV) quadrivalent
vaccine in a subgroup of women with cervical and vulvar disease:
retrospective pooled analysis of trial data.BMJ 2012;344:e1401.
4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン試験であるprotocol013(FUTUREI)とprotocol015(FUTUREII)から、接種前に子宮頸部腫瘍を切除していた女性1350人のHPV関連疾患予防効果を解析。
100人年あたりの疾患発症はワクチン群6.6、プラセボ群12.2で、ワクチン群で有意に低かった。