医師の船曳美也子です。
夏ごろから学会発表やら論文作成やらでなかなかブログかけませんでした。お久しぶりです。
当院では毎週、症例検討のカンファレンスと勉強会をしているのですが、先日の院内勉強会は、胞状奇胎についてでした。
妊娠中の異常に胞状奇胎というものがあり、正常な胎盤が形成されず、昔で言う「ぶどうっこ」というものができてしまうのです。
普通は、受精卵は父方の染色体と母方の染色体が合体してできるのですが、父方の染色体が2倍になった細胞が増殖するためになります。
多精子受精も原因の1つとなりますから、当院でも、IVFのDay1で多精子受精の可能性があるものは、当然、胚移植しないようにしています。
胞状奇胎でも悪性になりやすいものと、そうでないものがあるのですが、その診断はこれまで、顕微鏡でみる病理検査だけでした。ところが、病理検査では不確実で、DNA診断によって悪性化する可能性があるかどうかがわかり、近いうちに実用化されるのでは、という話でした。
運悪く胞状奇胎になった患者さんは、安全のために数ヶ月間、次の妊娠が禁止になるのですが、このDNA診断が実用化すれば、早く不妊治療を再開できるようになります。