医師の林輝美です。
さて、不育症について。
定義としては、2回以上の流産(もしくは死産)をくり返す状態です。
3回以上くり返す流死産を習慣流産と呼んでいます。
わが国では習慣流産の0.9%に比べると、不育症は4.2%と当然多くなります。
原因不明が70%といわれ、その半分が染色体異常といわれています。
そうすると残りの30%は何らかの原因があったということです。
ところが不育症の原因はたったひとつと考えにくく、流産の度にその原因は異なっていることもあります。
厚生労働省による研究班が掲げた「2回流産した人が何の治療もしないで、次妊娠した時の妊娠成功率は80%以上」のポスターは記憶に久しく、また私たちの臨床の現場でも実感するところです。
またついでにいうと、3回流産した人が無治療で次にうまくいく妊娠成功率は50~60%とのことです。
これに加えて不妊治療の方の年齢が上がると、否応なく流産率も上がることになりますので、恐れずどんどん次の妊娠を目指そうとなるのですが、いや待てよ、治療した方がいいような「原因」が隠れていないか、そのスクリーニングをしておくのが不育症の検査の役割だと考えています。