検査部の濱田です。
今回私は5月14日と15日に開催された、第57回日本卵子学会に参加しました。
毎年いくつもの学会に出席しているのですが、今回も興味深く、実際の現場で働いている身としてもいい刺激と知識を得ることができました。
今回、特に興味深かったのが、「移植結果から見たConventional-IVFとICSIの比較」というものです。
現在、多くの病院やクリニックで行われている体外受精の方法としてConventional-IVFとICSIがあります。この報告は、この2つの媒精方法 (受精させる方法) の違いが胚移植の結果に影響しているかを調査したものでした。
Conventional-IVF(体外受精)とは、採卵した卵子を入れた培養液に濃度を調整した精子を滴下し一緒に培養して、受精させる方法のことを指します。また、ICSI(顕微授精)とは、顕微鏡下で卵子に針を刺して精子を注入する方法を指します。
今回の報告としては、媒精方法の違いが、胚移植の結果に影響することはほとんどなく、移植時の胚の選択を重要視すべきということでした。
しかし、充分な運動精子でConventional-IVFを行ったにも関わらず受精しない「受精障害」ということがあります。受精卵が得られなければその周期の治療はキャンセルになるので、そういったリスクを考えるとICSIの方が受精率が高く確実な方法です。
さらに当院では、妊娠率向上やより良好な胚盤胞を得るために以下のようなアプローチも行っております。
通常の顕微授精(ICSI)よりもさらに細かく精子形態や染色体異常の範囲まで選別し、より良好な精子を選別して顕微受精を行う、ヒアルロン酸成熟精子選別法とIMSIの実施。受精障害や重度の男性不妊に対しておすすめしている、卵子と精子の受精をよりしやすくする方法としてカルシウムイオノフォアの実施。
また、より良好な胚を選別する方法として長期培養・胚盤胞培養や、着床補助技術としてTEリムーバル、アシステッドハッチング、エンブリオグルーの使用という方法があります。
これらの技術をもとにより多く患者様のお声にお応えできるよう誠心誠意努めていきますので、ご興味のある技術などがございましたら是非お気軽にスタッフにご相談ください。