こんにちは、培養士の高野です。
前回までの”今日の卵”では受精前の卵の様子をお伝えしました。今回は顕微受精についてお話したいと思います。こちらが顕微受精をしている瞬間の卵子です。
よく見ると針先に精子がいるのが分かるかと思います。この精子を卵子の細胞質に注入するのですが、ただ単に精子を捕まえて入れるのではなく、その過程の中では精子の動きを止める不動化や細胞膜の穿破など様々な過程があります。
このような繊細な過程のある顕微受精ですが、培養室では毎日多くの卵子に施行されています。
毎日のルーチンワークの為、流れ作業と思われがちですが私達培養士は卵子1つ1つに心を込めて顕微受精をしています。
データーだけで見れば毎日何十個、何百個ある中の1つの卵子ではありますが、患者様お一人お一人にとってはご夫婦の今後の未来を左右する1つの命が生まれるかもしれない卵子です。
日々、その気持ちを忘れずに培養士は卵子、胚、精子を扱っています。
さて、次回からは受精後の胚についてお話できればと思っております。