第55回日本卵子学会に参加しました…その4

第55回日本卵子学会に参加しました…その4

検査部の松田です。

5月18日に神戸で開催された第55回日本卵子学会に参加しました。
顕微授精や胚培養、卵成熟など私たち培養士が日々行っている業務内容に関する興味深い発表がたくさんありました。

その中でも「卵子・卵巣組織の凍結保存」についての発表に注目しました。卵子の凍結保存は、がん治療や卵巣障害に対する医学的適応というだけでなく、女性の妊娠・出産の時期を仕事や婚期に合わせて調整することができるメリットがあります。

卵巣組織の凍結保存は、ガン・リンパ腫・白血病等で特に卵巣への浸潤のリスクが高い場合や卵巣刺激して採卵する時間が取れないなど緊急性がある場合に有効な技術です。凍結した卵巣組織の融解・移植による妊娠が世界各国で認められ40名ほどの児が誕生しているという報告もあります。

しかし、卵巣組織凍結にも胚や卵子と同様に緩慢凍結法とガラス化凍結法がありますが、まだどちらがより有効なのか臨床での結果が出ていません。しかし、マウスではポリエステルシートを幅広にしたCryosheetに卵巣組織を載せて凍結するという方法で産仔を得ることができています。そして日本では2013年国内初、ヒトでの凍結卵巣移植後の機能回復に成功しています。

がん治療など医原性不妊回避というだけでなく、これによって精神的に前向きになれるという声も報告されおり、今後更に発展していく技術だと思います。

当院では卵子凍結を行っており、より広く理解していただけるよう最新の情報をお伝えできる卵子凍結セミナーを実施しています。少しでも興味や関心のある方は気軽に参加してみてください。