ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)に参加しました…その1

ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)に参加しました…その1

培養士の長谷です。

6月29日~7月2日にドイツのミュンヘンで開催されたESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)に参加してきました。

日本の学会では制限が厳しく、あまり行われていないPGDやドナーなどの臨床データの発表もセッションが設けられるほど多く、知識を深めるよい経験になりました。

興味深かった内容は未成熟卵の凍結についてでした。卵子には成熟卵と未成熟卵があり、通常顕微授精は成熟卵に対して行います。
そこで、体外成熟培養(IVM)を行って未成熟卵を成熟させるという方法があります。IVMは未成熟卵を採取し卵丘細胞がついた状態で成熟培養を行います。卵丘細胞は成熟するのに重要な因子を待っているのではないかと言われています。

発表では、IVMを行ってから凍結融解した卵と、未成熟卵のまま凍結融解してからIVMを行った卵の受精率および胚盤胞達成率を比較検討していました。
両比較ともにIVMを行ってから凍結融解した卵のほうが良い結果が得られ、未成熟卵での凍結は卵丘細胞からの因子を結果的に崩壊させているのではないかと示唆されていました。

当院では顕微授精の際、卵丘細胞をはがした時点で未成熟だった卵に緊急に行うレスキューIVMを行っており、成熟、発生した例が多数あります。
このことから卵丘細胞以外にも成熟に必要な因子が存在すると考えられます。
今後その因子の存在が明らかになれば体外成熟培養の成績はより向上するのではないのでしょうか。