第55回日本卵子学会に参加しました…その2

第55回日本卵子学会に参加しました…その2

培養士の長谷です。

5月17、18日に神戸で開催された日本卵子学会に参加してきました。

本学会では新しい胚の評価法やメディウムについての検討など、培養器や顕微鏡など機器の高性能化に伴う発表が多く見られた様に感じられました。その中で私が一番気になったのはシングルメディウムの臨床的有用性を検討したものでした。

胚を培養する培養液には当院で使用しているシーケンシャルメディウムと今回検討されていたシングルメディウムの2種類があります。

胚は初期胚と胚盤胞期胚で必要な栄養が異なり、シーケンシャルメディウムは初期胚で必要な栄養を含んだ培養液と胚盤胞期胚で必要な栄養を含んだ培養液を使い分けるタイプでシングルメディウムは初期胚から胚盤胞まで同じメディウムを使い続けるタイプのもので、培養液交換の必要がないので外的ストレスを軽減、胚盤胞発生率を期待するものです。

今回の発表でシングルメディウムを使用した胚とシーケンシャルメディウムを使用した胚との比較で胚盤胞発生率の差は見られないということでした。

シーケンシャルメディウムは培養液交換することにより胚の代謝による老廃物を取り除き、発生段階にあった栄養を供給することができます。
双方のメリット、デメリットを比較するとシーケンシャルメディウムの方が胚にとって良いのではないかと思います。