こんにちは。培養士の中森です。
私は先日新潟県で開催された第57回 日本卵子学会に参加しました。
様々な演題がありましたが若年女性に対するがん治療と妊孕性温存についての教育講演に特に興味を持ったのでご紹介します。
妊娠などに関わるがんとして子宮や卵巣のがんが挙げられると思いますが、特に近年では20代、30代の子宮頸がん患者数は年々増加しています。
若年がん患者数が増加しているものの手術療法や化学療法、放射線療法などや診断方法が進歩していますのでその治療成績は向上し、がん患者の生存率が改善してきています。
しかし、一部の若年女性がん患者は治療によって、後に閉経の早期発来や妊孕性が損なわれる可能性があります。抗がん剤による卵巣への影響は大きく妊娠を望む場合には大きな問題となります。
そのために有用な方法として当院でも実施している卵子凍結があります。
子宮頸がんは妊娠中に合併する最も多い悪性腫瘍です。
妊娠中に合併する子宮頸がんは初期ステージのものが多く、がんが粘膜上層皮にとどまっている場合は、治療を行わず無事出産を終えてからがんの治療をしますが、妊娠の早い段階で見つかった場合は妊娠を断念してがんの治療を優先することが一般的です。
しかし、妊娠継続希望が強い場合には治療を遅らせたり、化学療法を行ったりして治療を行います。
また、演者の先生が広汎性子宮頚部を摘出し無事生児が得られた症例があると発表されていました。
早期発見によって妊孕性の温存や妊娠の継続ができます。
がん検診の重要性や治療方法などを再確認する良いきっかけになりました。