検査部の奥平です。
今日は卵の培養液について紹介させて頂きます。
卵の培養では、通常2種類の培養液を使用しています。
採卵から受精処理までは、卵子と精子の機能維持や受精に適した培養液を用いています。
そして受精翌日に、胚の代謝や生存、発生に適した別の培養液に交換し、目的の日数まで培養しています。
また、胚移植時にも同様の培養液が用いられます。
けれども、望ましい組成に調整された培養液であっても、全ての卵や患者様に万能とは限りません。
患者様によっては、受精や胚発生、着床がうまく起こらないこともあります。
そこで当院では、そのような方々の治療の選択肢の一つとして、いくつか特殊な培養液も取り扱っています。
例えば、
- 卵細胞質内のカルシウム濃度を上げ、卵子活性化を促進し、受精や胚発生を手助けする培養液
- ヒアルロン酸とアルブミンを多く含み、胚移植後の着床を手助けする培養液
- 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF; 女性の生殖道で発現し、生殖と深く関与しているサイトカイン)を含み、胚発生や着床環境を改善し、特に流産経験がある方に有用とされる培養液
などがございます。
これまでに受精や胚発生不良、着床不全でお悩みの方々は、医師や胚培養士とよく相談され、個々の症例に合わせた培養液をご検討されてはいかがでしょうか。