慢性子宮内膜炎…その12

慢性子宮内膜炎…その12

医局カンファレンスです。

「慢性子宮内膜炎はどのように診断するのか?」というお問い合わせをいただく機会が増えてきました。

診療時間内で詳しいお話しをするのは難しいので、この場を借りて解説したいと思います。

診断は子宮内膜生検で得られた組織を標本化して行います。形質細胞はCD138という糖タンパクを細胞膜に高密度に持っています。CD138を検出する免疫組織化学法を用いて診断しています。

古典的な染色法では、形質細胞を見つけ出すのは大変時間のかかる、骨の折れる作業で、診断が不確かな場合が多い(観察者間の間で検出細胞数がばらつきが大きい)ことが知られていました。
診断の標準化という問題が残るものの、免疫組織化学法を用いると、診断時間・精度とも大幅に改善されることが分かりました

(Bayer-Garner IB et al., Modern Pathology. 2001;14:877-879.
Kitaya K, et al., Experimental Therapeutic Medicine. 2013;5:485-488.)。

10月のASRMの昼食会でもこの診断法の話題が出ましたが、子宮内膜や着床を専門にしているほとんどの臨床医・研究者が知っていました。
最近の論文を見ていても、CD138を用いて慢性子宮内膜炎の診断を試みた内容のものが増えてきています。
免疫組織化学の導入によって、慢性子宮内膜炎について今後より詳しいことが分かってくることが期待されます。