高齢妊娠・出産の或る利点

高齢妊娠・出産の或る利点

医局カンファレンスです。

先日あるインターネットで偶然面白い記事を見つけました。

「高齢で分娩した女性は、子宮内膜癌・子宮体癌にかかる危険性が低下した」という疫学研究です。
(Setiawan VW et al., Am J Epidemiol. 2012;176:269-78.)

8,671人の子宮内膜癌患者と16562人の対象群で比較しています。
その結果、最後の分娩年齢が40歳以上だった女性では、最後の分娩年齢が25歳だった女性に比べて、子宮内膜癌の発症率が44%低かったそうです。

子宮内膜癌は、肥満、エストロゲン製剤の長期使用、過去に妊娠・分娩経験が無いことなどが、発症危険因子として古くから知られていますが、こういった要因を排除して解析しても統計学的に有意な結果であり、この発症リスク低下現象は、長年にわたって認められたそうです。

つまり、高齢初産であってもリスクの低下が見られたということです。
高齢での妊娠・出産はいろいろな合併症と関係しており、ハイリスクとして取り扱われますが、その中ですでに妊娠中、またはこれから妊娠を目指しておられる当事者の方々には、ちょっとうれしい話ですね。