子宮内膜の血流…その2

子宮内膜の血流…その2

医局カンファレンスです。

前回の続きです。

子宮や卵管の内側は、大気に比べて酸素が薄い(酸素分圧が低い)ことが知られています。また、低酸素下培養された胚を移植した方が、大気と同じ条件で培養した胚に比べて妊娠成績がよいことが分かってきました。
このように、ヒトの胚はどちらかというと低酸素状態を好むと云えます。
(Bontekoe S et al., Cochrane Database Syst Rev 2012;7:CD008950)。

着床期の子宮内膜に、酸素を多く含んだ血液が一挙に流れ込むのは、胚にとってはあまり好ましい状況ではないのです。

最近、着床の専門家の間では、『着床期子宮内膜の過剰な血流は、胚に「酸化ストレス」という悪影響を及ぼすのではないか?』と考えられています。

この「胚への酸化ストレス悪影響説」を裏付けるデータとして、流産となった妊娠では、継続できた妊娠に比べて、妊娠初期子宮内膜の毛細血管が多いこと (Vailhe B, et al. Human Reproduction 1999;6:1628-1634, Quenby S et al. Human Reproduction 2009;24:45-54.など) も知られています。