医局カンファレンスです。
ノーベル賞受賞を記念して、ベタですがこの話題に触れます。
iPS細胞の実用化への問題のひとつとして作成効率が低いことが、よく書かれています。
その中でヒト子宮内膜細胞はiPS細胞の作成効率がよい細胞だという論文が出ているのを見つけました。(Park JH, Endocrinology. 2011 Mar;152(3):1080-9. )
流し読んでみると、新生児の包皮の繊維芽細胞よりも15倍高い回収率(といっても、実験1回あたりの回収率は平均0.5%)で得られたそうです。
子宮内膜細胞には、iPS細胞作製に重要ないわゆる「山中因子」とよばれる4つの蛋白質のひとつが作成過程で強く発現するようで、これが高い回収率が得られた大きな理由のひとつのようです。
以前に、国内の循環器グループが月経血に含まれる幹細胞から作成した細胞が移植したマウスの心筋で機能することが話題になったことがありました。(Hida N, Stem Cells.2008 Jul;26(7):1695-704)
月経時に剥がれては、毎月のように元通りに回復してくる子宮内膜は再生力の強い細胞を多く含んでいるようです。
なおどちらの論文もオンラインで現在無料公開されています。