医局カンファレンスです。
クラミジア・トラコマチスと淋菌は、子宮頚管や卵管の粘膜に高頻度で感染して、子宮頚管炎や卵管炎を引き起こすことが以前から知られています。とくに卵管炎は卵管閉塞や卵管留水腫を誘発し、不妊症の原因になることも、はっきりしています。
子宮頚管粘膜と卵管粘膜と地続きでつながっている子宮内膜は、クラミジアや淋菌の恰好の標的だろうと予想されます。
しかし、これまでにクラミジア性子宮内膜炎、淋菌性子宮内膜炎にお目にかかることは、ほとんどありませんでした。
これには常々疑問を持っており、性感染症の専門家にも何度か尋ねたことがありますが、返って来た答えは同じでした。
数年前に、慢性子宮内膜炎の患者さんの子宮内膜からは、一般細菌やマイコプラズマが検出されることが多く、クラミジアはまれで、淋菌はゼロだったとする報告 (Cicinelli et al., 2008 Fertil Steril)を見て、クラミジア性子宮内膜炎、淋菌性子宮内膜炎はやはり珍しい病気なんだなと納得しました。
ところで、慢性子宮内膜炎の病巣から検出される一般細菌のうち代表的なものが大腸菌・腸球菌・連鎖球菌群の3つです。
マイコプラズマは産婦人科領域で最近注目されている微生物です。
残念ながら検査にはまだ保険適応がありません。
当院では、慢性子宮内膜炎のある不妊症患者さんに、クラミジアや淋菌よりもむしろ一般細菌およびマイコプラズマを攻撃する抗生剤を処方しており、これまでほぼ100%完治を達成しています。
さらに治療後の体外受精-胚移植の妊娠成績が向上することが明らかになってきました。
詳細は、近日(次々回あたり?)このブログで報告予定です。