医局カンファレンスです。
このようにして血液中へ流れ出たプロゲステロンは子宮内膜へ作用し、早々と排卵前から排卵後の形態に変えてしまいます。
刺激採卵周期では、自然周期よりも早い時期にnucleolar channel system (NCS) が子宮内膜上皮細胞に現れるのも、この「早発プロゲステロン上昇」を反映していると考えられます。
一方で、刺激採卵周期では自然周期に比べて、子宮内膜の遺伝子発現はどちらかというと遅れているという報告が最近多くみられます (Humaidan P et al., Hum Reprod. 2012;27:3259-3272.など)。
いずれにしても刺激採卵周期の子宮内膜は、生理的な状態から外れた「不自然な」状態にあるといえます。
刺激採卵周期中の新鮮胚移植の成績に比べて、凍結融解胚移植の成績のほうが良い原因のひとつが、ここにあるようです。
ところで、いくつかの論文のメタ解析によると (Kolibianakis EM et al. Curr Pharm Biotechnol. 2012;13:464-470).この刺激採卵周期の「早発プロゲステロン上昇」は卵の質には影響を与えないようです。