刺激採卵周期と自然月経周期では子宮内膜の状態は大きく異なる…その2

刺激採卵周期と自然月経周期では子宮内膜の状態は大きく異なる…その2

医局カンファレンスです。

現在のように体外受精が不妊治療として一般化する前から排卵誘発剤の子宮内膜への影響が指摘されています。

排卵障害の不妊女性に
「まず、月経周期5日目から9日目までクロミッド2錠/日を処方、超音波で卵胞径・内膜厚を定期的に計測しながら、HMG注射を数回追加してサポートし、最後にHCG注射で排卵を促してタイミング指導やAIHを行う」
古くから行われている排卵誘発法です。

このような比較的マイルドな刺激を受けるだけでも子宮内膜の形態が自然排卵周期と大きく異なることが電子顕微鏡による観察で確認され1987年にすでに報告されています。(Martel D et al., J Endocrinol. 1987;114:319-324.)

クロミッド+HMG+HCG投与を受けた排卵障害患者22名から
排卵後に子宮内膜を採って (注1)
月経周期が規則的な女性と比較すると
排卵確認2日後の形態一致率は44%と低く、
排卵確認6日後に至っては、わずか15%でした。

排卵後4-6日後、自然排卵周期の子宮内膜表面にはパイノポード (またはピノポード、注2) とよばれる構造物が一律現れますが、クロミッド+HMG+HCG投与患者では、やはり15%にのみ観察できたそうです。

この後の一連の研究で、排卵誘発周期の子宮内膜は、「形態的に進みすぎている」ことが問題視されてきました (注3)。
なぜそうなるのか?

今後も、順次これらの研究を紹介予定です。

(注1) 22名のうち、9人は排卵確認後2日目に、13人は排卵確認後6日目に採取しています。
(注2) , (注3) 当院のウェブサイト
http://www.oakclinic-group.com/implantation/03a_implantation.html
http://www.oakclinic-group.com/implantation/03b_implantation.html

も、それぞれご参考ください。