理事長の中村嘉孝です。
美容外科の学会で、ソウルに来ています。韓国はご存知のように非常に美容外科が盛んで、外国人医師の研修を受け入れている施設もいくつかあります。
私も美容関係のトレーニングは、主に韓国で受けたのですが、外国人だけではなく、韓国内からも他の専門から転科するためにドクターが来ていました。おどろいたのは、その大半が産婦人科医だったことです。
理由をきくと、「女性に接する仕事だから美容も」というのではなく、「産婦人科医ではやっていけないから」という答えでした。
しかし、韓国は不妊治療も盛んで、今は法律で禁止されましたが、以前は卵子ドナーがOKだったこともあり、CHA General Hospitalなど国際的にも有数の施設があります。
「不妊治療はどうなんですか」とたずねたら、「そもそも、分娩にしても不妊にしても、誰も子どもを欲しがらなくなっているから、どうしようもなくなっている」という返事が返ってきました。
不覚にもその時まで知らなかったのですが、韓国の少子化はハンパではなく、日本の比ではなかったのです。
一人の女性が生涯何人の子どもを産むか計算した統計を、合計特殊出生率といいます。
もちろん2以上でなければ、人口は減少に向かうわけですが、1975年までは4以上だった韓国が、2005年には1.08と世界で最低の数字となっています。
日本は昨年が1.37ですから、いかに韓国の少子化が極端か、おわかりいただけると思います。
今、話題になっている『デフレの正体━経済は「人口の波」で動く』(藻谷浩介著、角川書店)は、現在の経済停滞の根本的な原因は、働きざかりの人口の減少にあることを明らかにしています。
どうも産婦人科の景況は、20年後の経済全体の景況に直結しているようです。