理事長の中村嘉孝です。
先日、ワインバーでめずらしい道具を見かけました。
古いワインには「澱(おり)」と呼ばれる、苦い沈殿物ができます。
ボトルからグラスに注ぎ分けると澱が舞い上がってグラスに入ってしまうので、普通はボトルの中身を澱が入らないように、そっとデキャンターという透明なガラス容器に移しかえ、そこからグラスに注ぎ分けます。
ところが、このお店のオーナー・ソムリエは、「デキャントすると、ワインが空気に触れて味が変わるから」とこんな道具を出してきたのです。携帯写真なのでわかりにくいでしょうが、後ろにハンドルが付いていて、それを少しずつ廻すと、ボトルを揺らさずに傾きます。
そして次のグラスに注ぐまでの間も、その傾きのままで置いてあるので、澱が舞い上がりません。
さすが、プロの道具には色々な工夫があるものですね。
一方、医療の機器などはハイテク製品だから、工夫といっても、と思われるかもしれません。
しかし、手術や体外受精の器具などは、少しのアイデアと工夫で良くなることが、まだまだあります。
ところで、以前、あるホテルのダイニング・バーで飲んだワインに、ブドウの実が入っていたことがありました。ソムリエに伝えると、「製造過程でろ過するから、入る訳ないんですけどねぇ」と首を傾げながらも、「すみません」と何度も謝っておられました。
しかし、空気に触れたワインと触れないワインの違いはもとより、コンビニのワインと高級ワインの区別さえ覚束ない私にとっては、混入したブドウの実も、アイスの「当たり」のような感じがして、なんだか嬉しくなってしまいました。もっとも、「もう一本、無料」というのはありませんでした。