オーク会のPRP

オーク会のPRP

理事長の中村嘉孝です。

今回は、オーク会のPRPについてのご案内です。

「ああ、何年か前に流行っていたやつですね」というのは、違います。それはピコ太郎のPPAPです。
オーク会のPRPは不妊治療技術の一つです。

PRPというのはPlatelet Rich Plasma=多血小板血漿のことで、血小板というのは赤血球や白血球と一緒に血液の中にいてるのですが、怪我をした時に集まって血を固める働きをします。そして、単に血を固めて出血を止めるだけではなく、成長因子と呼ばれる色々な種類の物質を出して、傷の修復をします。つまり、組織の再生を行います。

体中のあちこちでできる傷を直して組織を再生するわけですから、PRPは万能の再生力をもっていると言えます。だからPRPは、歯科のインプラントや美容外科のシワ取りにも使われています。

ご存知ように子宮の内膜は毎月、生理で剥がれては再生しているのですが、中には着床に十分な状態まで子宮内膜が再生してこない方がおられます。ですので、成長因子を出すPRPを子宮に入れて内膜の再生を促すというのが、この治療法の概要です。

ただ、ややこしいのはPRP療法は再生医療法という法律に抵触するため、厚生労働省の許可を受けないと行うことができません。勝手にやると罰せられるで手続きを踏まなくてはならいのですが、この手続きが恐ろしく大変でした。

歯科や美容外科で使う場合は比較的簡単な第3種の申請で通ります。それでいいのか厚生労働省の担当部局に問い合わせると、「先例がないので調べさせて欲しい」ということで待つこと1ヶ月、「第2種に該当する」という返事でした。

となると、設備や機器も適合するものに買い替えないといけないし、膨大な資料を揃えて審査委員会に申請しなければなりません。

さすがに諦めようかと思っていたら、再生医療研究の経験がある培養室のスタッフが「なんとしてもトライさせて欲しい」とのこと。何度も厚生労働省とやりとりしながら待つこと更に1年、やっと許可が下りました。

第一例目の方からいきなり妊娠が出て、幸先のよいスタートとなりました。まだまだ未知数の治療法ですが、

「ああ、何年か前に流行っていたやつですね」と言われないように、きちんと結果を出していきたいと思っています。