理事長の中村嘉孝です。
24日からAKB48の総選挙が始まったそうです。ファンによる投票というのは面白いアイデアで誰が一番人気なのか、民主的に決まってよさそうに思いますが、理論的にはそう単純ではありません。
2人のうち、どちらが人気なのかは投票によって決めることができます。
しかし、3人以上の場合には、民主的に順番を決めることが原理的にできないことが分かっており、「アローの不可能性定理」と呼ばれています。
『理性の限界』(高橋昌一郎 講談社)では、アローの定理とともに、論理学におけるゲーテルの不完全性定理、量子力学におけるハイゼンベルグの不確定性原理が紹介され、人間の理性の限界について論じられています。
また、このような理性そのものの限界についての議論とは別に、人間がそもそも理性的かどうか、という議論もあります。自分では理性的に下したと思っている判断が、実は無意識の不合理な感情の影響を受けているということは、心理学の実験でよく知られており、インフォームド・コンセントを考える上で、重要な問題になっています。
このように考えていくと、自分で自分の思考に自信が持てなくなってきます。
「あの子とこの子と、本当は自分はどっちが好きなんだろうか」と迷っているAKBファンの皆さんも、同じ心境でしょうか。
もっと自分を信じろよ -秋元康作詞、AKB48「RIVER」から