検査部の奥平です。
5月30日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。
今回ご紹介する論文は、
Analysis of maturation dynamics and developmental competence of in vitro matured oocytes under time-lapse monitoring.
Yang Q, Zhu L, Wang M, Huang B, Li Z, Hu J, Xi Q, Liu J, Jin L.Reprod Biol Endocrinol. 2021 Dec 10;19(1):183. doi: 10.1186/s12958-021-00868-0.
です。
レスキューIVM(R-IVM)とは、採卵時に未成熟卵(GV卵、MI卵)であったものを体外で培養し、成熟卵(MII卵)まで育てる技術です。通常、未成熟卵は生殖補助医療(ART)に用いることはなく、廃棄される運命にあります。そこで、R-IVMによりうまく成熟すれば、ARTに用いるトータルの卵子の数を増やすことが出来、未成熟卵を有効に活用できます。当院でもR-IVMをいち早く治療に取り入れており、ご希望される患者様に実施しております。しかしながら、R-IVM卵子に由来する胚は、生体内で成熟した卵子に由来する胚よりも発育能力が低く、臨床上の課題があるのは事実です。したがって、これまで多くの研究では、培養システムの改良を目的とし、培養液の添加物の違いによる成熟能や発生能の向上に焦点が当てられがちでした。
一方、今回の研究では、R-IVM中の卵の成熟動態(GV-MIの時間、MI-MIIの時間、GV-MIIの時間など)とその後の胚発育との関連について、タイムラプスシステムを用いて検討しています。果たして体外成熟時の特徴がその後の胚の発育にどう影響するのでしょうか?
詳細は動画をご覧ください。