検査部の奥平です。
7月4日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。
今回ご紹介する論文は、
No effect of ovarian stimulation and oocyte yield on euploidy and live birth rates: an analysis of 12 298 trophectoderm biopsies.
Irani M, Canon C, Robles A, Maddy B, Gunnala V, Qin X, Zhang C, Xu K, Rosenwaks Z.
Hum Reprod. 2020 May 1;35(5):1082-1089.
です。
皆様もよくご存知のように、胚の異数性(染色体数が異常)は女性の年齢とともに増加していきます。よって、一般的に体外受精では、卵巣刺激により複数の卵胞を育てることによって採卵数を増やし、なるべく多くの胚を作成し、正倍数性(染色体数が正常)胚が得られる可能性を上げようとする治療が行われます。
しかし、いくつかの研究では、卵巣刺激に対する反応が高いと胚毒性が生じる可能性や、減数分裂の際に染色体の異常分離が促進されて異数性率が上昇する可能性が示唆されています。
また、ある小規模な研究において、高用量のゴナドトロピンによる刺激を受けた女性は低用量の場合と比較して、胚の異数性率が高くなる可能性が示されています。さらに、正倍数性率の違いは、異なる刺激方法に起因することを示唆した報告もあります。
もしこれらの結果が正しければ、高刺激によってたくさん採卵し胚を多く作成できても、正常な胚は少ないといった本末転倒な話になってしまいます。
したがって、卵巣刺激を受けている女性において、外因性ゴナドトロピンが胚の正倍数性に及ぼす影響を明らかにすることは、最適な刺激方法を選択するために重要となります。
今回紹介する論文は、「卵巣刺激の強さや採卵数が、胚の正倍数性率や正倍数性胚移植後の出産率に及ぼす影響」について調べた大規模な研究となっています。
詳細は動画をご覧ください。