Oak Journal Review:培養士はDNAの断片化が少ない精子を見分けている

Oak Journal Review:培養士はDNAの断片化が少ない精子を見分けている

こんにちは。検査部の鈴木です。
12月6日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私がOak Journal Reviewで紹介した論文の内容を短くまとめた動画を公開いたしました。
今回紹介した論文は、顕微授精ICSIに使用する精子を形態と運動速度を基準に正常な精子を選ぶことで、DNAの断片化が少ない精子を選択できていることを示した次の論文です。

Quantitative selection of single human sperm with high DNA integrity for intracytoplasmic sperm injection.
Zhang Z, Dai C, Shan G, Chen X, Liu H, Abdalla K, et al.
Fertil Steril 2021;116(5):1308–18.

ICSIでは、卵子に培養士が選んだ1匹の精子を顕微鏡下でマニピュレータを操作して注入します。DNAの断片化の度合いと、受精後の成績に相関関係があることが知られていますので、どの精子を受精に使用するかは大切なポイントです。
そこで、培養士がICSIをするのと同じ条件で精子を選んでもらい、その精子のDNAの断片化を調べました。すると、元のサンプルよりも有意にDNAの断片化の割合が減っていました。すなわち、培養士はDNAの断片化が少ない精子を見分けられているということになります。
ただ残念ながら人による操作のため、個人間で有意な差が生じてしまいます。
では、このような個人間の差を無くすことはできないのでしょうか? またさらにDNAの断片化が少ない精子を選ぶ方法はないのでしょうか?

個人差を無くすには、自動化が有効です。そこで筆者らは、ICSIで使用する精子を選ぶ時の培地に合わせて修正したWHO基準をもとに精子を選び出すプログラムを開発しました。
このプログラムが選ぶ精子は、培養士が選ぶ精子よりもDNAの断片化が少ないものを選ぶことができるのでしょうか?詳しくはこちらの解説動画をご覧ください。