検査部の奥平です。
3月14日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。
今回ご紹介する論文は、
Transfers of lower quality embryos based on morphological appearance result in appreciable live birth rates: a Canadian center’s experience.
Lai I, Neal M, Gervais N, Amin S, Taerk E, Faghih M.
F S Rep. 2020 Sep 14;1(3):264-269. doi: 10.1016/j.xfre.2020.09.003.
です。
胚盤胞のグレーディングにはGardner分類と呼ばれる形態学的評価法が世界中でよく使用されています。Gardner分類では、胚盤胞のグレードは数字とアルファベットで示されます。
例)3BB
まず、数字の部分は胚盤胞の発育(拡張)段階を表しており、数字が大きくなるにつれ、発育が進んでいきます(グレード1からグレード6の6段階)。完全に胚盤胞になったものがグレード3であり、将来胎児になるICMと胎盤になるTEの二者がはっきりと区別できます。
続いて、アルファベットの部分はICMとTEの評価となっております。簡単に言うと細胞数に応じて評価が決まります。それぞれA、B、Cの3段階あり、Aが高い、Bが真ん中、Cが低いグレードとなっています。一般的にBB以上が良好胚盤胞とされています。
やはりグレードが高いほど移植した際の着床率、妊娠率も高くなるので、不妊治療施設によっては、Cグレードの胚盤胞は凍結や移植の対象外としているところもあります。
では、Cグレードの胚盤胞の凍結や移植は本当に意味がないのでしょうか?
当院ではCグレードの胚盤胞であっても凍結や移植の対象にしていますが、患者様から、「凍結する価値はあるの?」、「移植したら妊娠することもあるの?」、「Cが付く胚盤胞しか得られないがどうしたらいいか?」などの質問をよく頂きます。
そこで、今回紹介する論文はそのような悩みを持つ方にとって、今後の治療の参考になるのではないかと思います。
詳細は動画をご覧ください。