こんにちは。検査部の鈴木です。
3月28日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私が紹介した次の論文の内容を短くまとめた動画を公開いたしました。
Recombinant anti-Müllerian hormone in the maturation medium improves the in vitro maturation of human immature (GV) oocytes after controlled ovarian hormonal stimulation.
Bedenk J, Režen T, Železnik Ramuta T, Jančar N, Vrtačnik Bokal E, Geršak K, et al.
Reprod Biol Endocrinol 2022;20(1):18.
体外受精を行う際には、卵巣を刺激して卵胞発育を促し、複数の卵子を採卵します。この時、未成熟の卵子は受精能がないため、成熟卵子を得るためにトリガー(一般的にはhCG)を採卵の約36時間前に投与します。
こうして採卵できた卵子はほとんどが成熟卵子です。しかし、未成熟卵子が混じっていることもあります。このような場合は、レスキューIVM(In Vitro Maturation)という特別な培養技術により、体外で未成熟卵子を成熟させることが可能です。レスキューIVMをご希望の患者様は、当院の医師または看護師、培養士にご相談ください。
ただし残念ながら現在の技術では、IVMを行っても全ての卵子を成熟卵子にできるほどには技術が確立していません。
今回紹介した論文は、卵巣中の卵子の数を推定する指標として使われるAMH(アンチミュラー管ホルモン)に注目しました。
AMHは、未成熟卵子を取り囲む顆粒膜細胞と卵丘細胞から分泌されるホルモンです。そのため卵子の成熟に何らかの働きをしていると考えられます。しかし、これまで動物実験を含めても良く分かっていませんでした。
そこで論文では、AMHの卵子への作用、より具体的にはAMHを添加した培地でIVMを行うことで成熟率に影響があるかを調べました。
ただし、この論文では成熟率以降の受精率や胚盤胞到達率など調べていないため、今後さらなる研究が必要です。しかし、IVMへの効果を見ると、今後の研究が楽しみです。
詳しい内容は、こちらの動画でご確認ください。