Oak Journal Review:ICSIの完全受精障害に対する配偶子別の治療法

Oak Journal Review:ICSIの完全受精障害に対する配偶子別の治療法

胚培養士の奥平です。
ICSI(顕微授精)は、1個の卵子に1匹の精子を直接注入して受精を図る技術であり、現状では最も高度な生殖補助医療です。しかし、ICSIで確実に精子を卵子内に注入出来ていても、受精率が著しく低い、もしくは全く受精していないことがあり、これは完全受精障害と呼ばれています。一般的に、ICSIでの受精率が不良だった場合、次周期にはICSI後にカルシウムイオノフォア等を用いて人為的に卵子を活性化させる処置がよく行われます。しかし、受精障害の原因が精子、卵子どちらにあるかについて言及されることはほぼありませんでした。
そこで今回紹介する論文では、受精障害の原因を精子側か卵子側か特定し、それぞれに適した治療法によってICSIの完全受精障害の改善を試みています。

Identification and treatment of men with phospholipase Cζ-defective spermatozoa.
Cheung S, Xie P, Parrella A, Keating D, Rosenwaks Z, Palermo GD.
Fertility and Sterility. 2020 Sep;114(3):535-544.

なお、本論文については以前ブログ(2020年10月24日)でも解説しておりますので、動画を観る時間が無い方はそちらをご覧ください。


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