オーク会事務部です。
不妊に関するニュースをまとめて、定期的に発信しています。
客観的な事実に基づいたニュースをお届けします。
2015年1月の主なニュースは次の2つです。
*男性不妊治療 都が助成 15万円上限、年齢制限なし
- 東京都が男性の不妊治療にかかる費用を上限15万円助成
- 男性の治療費に上乗せすることで自己負担率を50%にする
<オーク会からのコメント>
1月5日、東京都は男性の不妊治療による負担が半分になるよう上限15万円を助成する方針を決めました。
今までの国の助成制度だと十分ではありませんでした。
都は今回助成することによって、夫婦でかかった費用80万円に対し自己負担率69%だったものを50%まで下げることを想定しています。
今回の支給対象の男性に年齢制限は設けず、400件の申請を見込んでいるそうです。
*「ルティナス膣錠」承認、不妊治療ようやく「世界標準」に
- 国内で初めて生殖補助医療として「ルティナス膣錠」が12月上旬より販売開始
- 今まで天然型ホルモンの注射剤や海外からの個人輸入などの方法で投与が行われていた
- ルティナス膣錠は患者自身が行うため連日通院することもなく身体的苦痛も軽減される
<オーク会からのコメント>
12月上旬に妊娠率を向上させるため患者の体に黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充するフェリング・ファーマの「ルティナス膣錠」が販売されました。国内ではこれまで生殖補助医療での使用を目的に承認された黄体ホルモン剤はありませんでしたが、9月に承認されて初めての販売となります。
日本では承認錠剤がないため、天然型ホルモンの注射剤や合成型の経口剤の転用、海外からの膣座薬の個人輸入、実験用の天然型ホルモンを原料に医療機関が独自に膣座薬を作るといった方法で投与が行われてきました。
ルティナス膣錠は専用の器具を使って自分で膣内に挿入するため、毎日の通院や注射が必要ありません。当院でも取り扱っております。
*不妊治療は子どもの発達障害と関係しない、デンマークの研究グループが確認
- デンマークの研究グループが不妊治療や低受胎が子どもの発達と関係がないことを報告
- 調査は2003年から2008年までデンマーク全国1752人の5歳児を対象
- 親の教育レベルから年齢などの調査のうえ、子どもの知能、注意力実行機能を検証
<オーク会からのコメント>
デンマークのオーフス大学公衆衛生学部の研究グループは産婦人科学の国際誌BJOG 2014年12月号に「不妊治療やなかなか妊娠できない低受胎が子どもの発達に影響を与えることと関係しない」ことを報告しました。
研究グループは以下の内容で調査を行いました。
【対象】2003年から2008年までデンマーク全国の1782人の5歳児
【前提】
- 親の教育レベル
- 母親の知能、年齢、出産歴、BMI、妊娠中の喫煙、妊娠中のアルコール摂取など
【調査】子どもの知能、注意力、実行機能
※知能テストには就学前の子ども用のウェクスラー式知能検査改訂版を使用
上記の調査から、妊娠のための生殖医療の影響は「知能・注意力・実行機能」のいずれも統計的な差がないことが確認されたそうです。ただ、妊娠中のたばこや肥満の影響を指摘する結果が多く報告されているので、生活習慣に気を払う必要がある、と述べています。
当院では、体外受精セミナーを定期的に開催しています。詳細はこちらまで。