論文の査読②:反復着床不全患者のQOL(生活の質)とレジリエンス

論文の査読②:反復着床不全患者のQOL(生活の質)とレジリエンス

こんにちは。医師の田口です。

皆さんは、”レジリエンス”という言葉をご存じでしょうか?レジリエンスというのは「ストレスに対応し、回復する」という意味をもつ、心理学の用語です。今後、日本の不妊治療の分野でも、この言葉が使われることが多くなってくると思うので、紹介させていただきました。

ちなみに、レジリエンスという言葉は、 Frontiers in Psychiatry誌という査読付き英文医学誌に掲載された下記の不妊治療に関する論文でも使われています。
Ying Ni, Limin Huang, ENMING ZHANG, Lianying Xu, Chenye Tong, Wen Qian, Aijun Zhang, Qiong Psychosocial correlates of fertility-related quality of life among infertile women with repeated implantation failure: the mediating role of resilience . Front. Psychiatry 13:1019922. doi: 10.3389/fpsyt.2022.1019922

なお、上記の英文論文の内容は、https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2022.1019922/fullをクリックされれば全文読むことができます。 また、米国国立医学図書館の論文データベース(PuBMed)からでも、下記をクリックされれば読めます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36440419/


ちなみに Frontiers in Psychiatry誌は、精神神経科領域の専門誌で、日本では下記のような先生方が論文を載せられています。
https://researchmap.jp/tadam/published_papers/39216334(東大)
https://uehiro-ethics.cira.kyoto-u.ac.jp/news-result/200722_publicity/(京大)

上記の英文論文については、私とガーナの先生とで査読審査をさせていただきました(上記の英文論文の末尾で下記のように私が紹介されています)。

Reviewed by:Enoch Odame Anto, Kwame Nkrumah University of Science and Technology, Ghana
Sagiri Taguchi, Oak Clinic IVF Center, Japan

上記の英文論文では、反復着床不全の患者様に対して、患者様のQOL(生活の質)をあげるためには、患者様の”レジリエンス力を高める”ことと、患者様に対する社会的サポートの充実が大事だと主張されています。
ただ、論文の著者の主張を実現するには困難な諸点があり、国や地域で方法は異なるでしょう。

しかしながら、まずまず丁寧な作法で研究は行われております。上記の英文論文が出版されてから、ほぼ1か月くらい経ちますが、世界中で結構、読まれているようで、論文内容に関する専門家の皆様の関心の高さが伺えます。

いずれにせよ、当院では、個々の反復着床不全の患者様のレジリエンス力を高め、少しでも良い臨床的な結果を得れるよう、患者様のサポートをしていきたいと思っています。