医師の田口早桐です。
先日、テレビ番組の収録がありました。
芸人さんたちが精液検査を受ける、という内容でした。
お笑いのバラエティーなので、不妊に悩む方々のことを考えると、不真面目すぎるかなと思いましたが、これも、男性不妊について広く知っていただくよいきっかけだと思い、結局お受けすることにしました。
当院では、男性不妊を主として担当している多田先生にも監修をお願いしながら、少しでも正確な医学知識を得ていただけたらと思いました。
精液検査というのは、精液量、精子濃度、運動率、奇形率などを数字で表すものです。
一応数字で結果が得られるのですが、判断は難しいのです。
もちろん、精液中に精子が全く見つからない、と言った場合は明らかに原因といえるのですが、いくら以上なら妊娠可能、いくら以上なら不可能、と判断できるものではありません。
正常かどうかの指標としてはWHO(世界保健機構)の出しているデータがあり、一応それを参考にして患者さんには説明していますが、その基準も最近変更になりました、以前の基準と比べると、随分甘くなったのです。
私がとくに驚いたのは精子全体に占める正常形態精子(精子の頭部の形や全体に占める割合が一定の形で、また尾部や他の部分にも欠損がないもの。Kruger test により評価する。)の割合が、以前は15%以上が正常と判断されていたのに、新しい基準では4%となっていることです。
これは、4%以上あれば、体外受精における受精率に影響が見られなかった、という報告から来ているようです。
体外受精が一般的になってきて、受精の過程が可視化されたことで、長年使われてきた精液検査の基準にも変化が加えられた、ということです。
これからも、これまで当たり前に使われてきたいろいろな基準に変更が加えられるのでしょうね。
ちなみに、10月10日月曜深夜0時35分~放送のテレビ番組、「シャバダバの空に」。
関西テレビ8チャンネルです。
お時間ある方、見てくださいね。