医師の田口早桐です。
先週、アメリカのボルチモアで開催されたASRM(American Society for Reproductive Medicine)、アメリカ生殖医学会で、口演発表を行いました。
演題は、A Randomized Comparison of Three Different Hormone Replacement Protocols for Thawed Blastocyst Transfer:三種類のホルモン補充プロトコールによる融解胚盤胞移植のランダム化比較試験、でした。
日本は海外に比べて新鮮胚移植よりも凍結胚移植の方が盛んです。理由は、凍結胚移植のほうが卵巣過剰刺激症候群のリスクを防げることと、排卵誘発周期では子宮内膜の受容性が変化しているために着床に不利であるという報告があることです。
同じセッションで、やはり融解胚移植が有利であることを証明する面白い報告がありました。
採卵時に黄体ホルモン値が高いと着床率が下がることが報告されていますが、新鮮胚移植では下がるものの、融解胚移植では低下しなかったということです。
いずれにせよ、当院ではさまざまな着床を妨げる要素を排除するために、胚移植は主に、融解胚移植をホルモン補充周期で行っています。
口演のあと、座長はじめ様々な国のクリニックの医師から質問を受けました。かなりの方が実際の細かいプロトコールに興味があるようでした。
同じ治療をするのであれば、製剤によって少しでも妊娠に有利になる可能性があるのかどうかを知るために、今後も調査研究を続け、データをアップデートしていきたいと思っています。