医師の田口早桐です。
Association of inflammation markers with menstrual symptom severity and premenstrual syndrome in young woman Human Reproduction, Vol.29, No.9 pp.1987-1994, 2014
月経随伴症状や月経前症候群が強い人は、慢性的な炎症のマーカーである物質（サイトカイン）が日常的に高いのかどうか、ということを調べた論文です。
277人に女性に対して月経痛や月経前症候群についての問診を行い、血液中のサイトカンを測定し、結果を比較しています。サイトカンは炎症や組織修復の際に細胞からでる物資で、いろいろな種類があり、様々な病気で上昇したり低下したりします。
まず月経随伴症状全般に関してですが、症状が強い人は、IL(インターロイキンといいます)-2、IL-4、IL-10、IL-12が高く、その中でも精神症状（イライラ、うつ、など）が高い人は、IL-2、身体症状（月経痛、吐き気など）が強い人はIL-4とIL-12が高い傾向にありました。
また月経前症候群の強い人は、IL-4、IL-10、IL-12、IFN-γ（インターフェロン ガンマ）が高い傾向にありました。
様々なサイトカンがあり、役割は一つではないのですが、炎症や免疫系が働いている指標にもなりうるので、当院でも最近データを取っています。
まだまだ臨床に使えるレベルにはなりませんが、今回に論文のデータは非常に参考になると思います。