医師の田口早桐です。
What a difference two days make: “personalized”embryo transfer(pET) paradigm: A case report and pilot study Human Reproduction, Vol.29, No6pp.1244-1247, 2014
ホルモン補充周期で融解胚移植をする際、エストロゲン剤を使用して内膜が充分厚くなるのを確認したら、プロゲステロン製剤を一緒に使って、内膜を「排卵後の状態」にしていきます。
通常、プロゲステロン製剤の使用開始日が排卵後1日目と考えるので、例えば受精後5日目の胚盤胞を子宮に移植するときは、プロゲステロン製剤開始5日目に移植します。胚の日齢と子宮内膜の排卵からの日数を同期させるのです。
しかしこの論文によると、子宮内膜の着床準備が整った状態になっているかどうかは人によって違い、子宮内膜の胚の受容性に関わるといわれる238種類の遺伝子を調べることで、着床可能状態にあるかどうかを調べることができるとのこと。
実際、提供胚の移植において、プロゲステロン開始5日目の移植で着床できなかった17人において、検査で、内膜がまだ着床可能状態に達していないということが分かったグループで、次回プロゲステロン開始7日目に移植をしたところ、妊娠率が19%から60%に上がった、というものでした(ただし、この19%の妊娠は全て化学妊娠もしくは流産に終わっています)。
着床可能な状態かどうかの判断に関しても色々な報告がありますが、大事な胚を預ける場所ですから、確実に知る方法があれば、と思います。